大腸癌で下血を繰り返している方がいました。

余命3ヶ月の宣告を受けていましたが

 

「先生、娘の幸せを確認したいんです。娘の結婚式まで生きていたいんです。」

 

{大切な人の幸せを確認したい}という強い思いがあり、輸血補充療法を選択されました。

下血は続いていましたが、その日を希望に前向きな生活を送られました。

 

「両家の方々が結婚前の顔合わせを行った日」深夜に大量出血、帰らぬ人となりました。

 

結婚式を見届けることはできませんでしたが、

文字通り血を流し続け、麻薬を体に取り入れ、自ら命を懸けて「最高の1日」を過ごされました。

「娘さんの将来の幸せ」を確認することができ、張り詰めた最期の緊張の糸が切れたのかもしれません。

 

自分がどんなにつらくても、泣き言を言わず、

大切な人の幸せを願い続け、最後の日まで希望を持って前向きに逝かれた「最高のお父さん」

短い間でしたがその「生き方」、「共に過ごした日々」は

ご家族様のみならず、関わることができたスタッフの

心の中に存在し続けると確信します。

 

短い時間でしたが、診療、看護に携われたことを誇りに思います。

 

本当にありがとうございました。